介護離職を防ぐために知っておきたい支援制度

介護離職防止策

高齢化社会が進む中で、仕事と家族の介護に追われ、その過酷さから止むなく会社を辞めてしまう「介護離職者」が増えています。
しかし国や会社の支援制度を知っていれば退職を選ぶことなく仕事と介護を両立できたというケースも少なくありません。
事業主は介護に直面している社員や将来的に介護を迎える若手社員に向けて、支援制度を丁寧に伝え、その不安や負担を軽減し、急な退職を抑える働きかけが必要となっています。

両立支援制度とは

「両立支援制度」とは働きながら介護をする方の負担を軽減するする目的の支援制度です。
要介護状態のご家族がいる場合、会社に申し出ることで、「育児・介護休業法」に定められている「介護の為の両立支援制度」が利用できます。 詳しくをご紹介していきます。

介護休業と介護休暇制度

労働者が要介護状態の対象家族を介護や病院への付き添いなどをするための、休業や休暇制度です。
正社員だけでなくパートやアルバイト、派遣契約の方も一定の要件を満たせば取得することができます。

 介護休業と介護休暇制度

介護休業中に、仕事と両立できる準備を

介護休業とは、労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。
対象の家族1人につき3回まで、通算93日までの休業ができます。 この期間中に市町村やケアマネージャーに相談し、仕事と介護を両立できる環境作りをすることが大切です。

<対象となる労働者>
・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
※パートやアルバイトなど、期間を定めて雇用されている方は申出時点で次の要件を満たすことが必要です。
(令和4年3月31日までの申出の場合)
①入社1年以上であること。
②取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
※労使協定を締結している場合に対象外となる場合があります。

病院付き添いなどには介護休暇を

介護休暇とは労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。
1日単位または半日単位で、1年で5日まで取得できます。
(対象家族が2人以上の場合は年10日まで取得可能)

<対象となる労働者>
・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
※労使協定を締結している場合に対象外となる場合があります。

労働時間の短縮と残業の制限

所定の労働時間を短縮したり制限する制度です。
会社によって利用できる制度に違いがあるので確認が必要です。

所定労働時間の短縮とは

所定労働時間の短縮とは、労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための支援処置です。
事業主は次のうちの
①短時間勤務
②フレックスタイム制度
③時差出勤制度
④介護費用の助成
のいづれかの支援制度を設ける必要があります。
対象家族1人につき、3年以上の期間で2回以上の利用が可能です。

<対象となる労働者>
・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
※労使協定を締結している場合に対象外となる場合があります。

所定外労働外の制限(残業の免除)とは

労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するために申請した場合、残業を制限してもらえます。
回につき、1か月以上1年以内の期間で使用でき、回数の制限はありません。

<対象となる労働者>
・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
※労使協定を締結している場合に対象外となる場合があります。

時間外労働の制限とは

労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するために、1か月に24時間、1年で150時間内に抑えてもらえる制度です。
1回につき、1か月以上1年以内の期間で使用でき、回数の制限はありません。

深夜残業の制限できます

労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するために、午後10時から午前5時までの深夜労働を制限してもらえる制度です。

<対象となる労働者>
対象家族を介護する男女の労働者
※下記の場合は対象外となります。
・日々雇用される労働者
・入社1年未満の労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・所定労働時間の全部が深夜にある労働者など

介護休業給付金

介護休業給付金は、家族の介護のために仕事を休む場合に、お金を受け取れる制度です。 生活費を心配することなく、介護に専念することができます。

介護給付金はどれぐらいもらえるの?

介護休業を取得している場合に、給与の67%が給付金として雇用保険より支払われます。
退職することなく、家族の介護のサポートに役立ち、休業期間が終われば職場復帰することを前提としています。
なお支給日数は最大93日となり、申請・給付は介護休業終了後となります。

<給付対象者>
介護者からみた関係性
①配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
②父母(養父母を含む)
③配偶者の父母(養父母を含む)
④子(養子を含む)
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹・孫

<給付金を申請できる条件>
・介護休業開始日前2年間に11日以上就業した月が、12カ月以上。
・介護休業中に仕事をした日数が、月に10日以下。
・介護休業中の月々の賃金が、休業前の賃金の80%未満であること。
※介護休業前に退職が決まっている場合などには利用できません。

介護離職しないために

介護は突然起こります。
そしていつ終わるかわからない介護だからこそ事前に知識を得たり準備しておくことで慌てずに向き合うこともできます。
厚生労働省のホームページにも、両立支援制度の詳細が載っています。
確認してみましょう。