ケアハラスメントが介護離職の原因に ならないように企業ができること

介護離職防止策

近頃よく耳にする「ハラスメント」とは、何かを理由とした嫌がらせや差別を意味する言葉です。「ケアハラスメント」は仕事をしながら介護をする人に対しての嫌がらせや介護制度の利用を阻害する行為を指します。このような残念な行為が起きてしまう原因を解消し、ケアハラスメントが原因で介護離職してしまう人を増やさないために企業ができることを考えてみましょう。

どんな行為がケアハラスメントなのか

職場でのケアハラスメントの具体例は主に次の3つにが考えられます。

介護制度の利用を妨げられる

介護休業や介護休暇など、育児・介護休業法には介護が必要な家族を支援するための多くの制度があります。業務多忙や人員配置を理由にしたとしても、権利の行使を拒むとケアハラスメントの可能性があります。

介護制度の利用を理由に不利益な扱いを受ける

介護休業を申し出たら昇格できない、部署異動させられる、時短勤務を申し出たら役職を外されたなど、処遇に関わる不利益を与えたり、ほのめかすこともケアハラスメントに相当します。

介護制度の利用や介護が理由の欠勤などについての嫌がらせ

「早く帰れていいよなあ」「介護は奥さんに任せればいいのでは?」「自分なら介護では休まないけど」などの配慮のない言葉や、仕事を与えない、簡単な業務しか与えないなどの嫌がらせもケアハラスメントに相当します。

ケアハラスメントを放置するリスク

一番のリスクは、ケアハラケアハラスメントを放置するリスクスメントを受けた従業員が退職を余儀なくされることです。その結果、人員不足による生産性の低下だけでなく、他の従業員のモチベーションを下げてしまう悪影響を与えてしまいます。
また、育児・介護休業法には、企業はケアハラスメントの防止措置を講じる義務があると定められていますので、放置しておくと法的責任を問われるリスクや社会的信用の損失につながる可能性もあります。

なぜケアハラスメントは起きるのか?

ケアハラスメントが起きる原因としては、次の2つが考えられます。

理解不足

第一にケアハラスメントという言葉が浸透しておらず、問題行動として認識されていないことが考えられます。その上、介護を経験した人や、仕事と介護の両立経験者が職場内に少なく(もしくは公言しておらず)、介護の大変さや制度利用の必要性を理解するきっかけが少ないことも大きな理由でしょう。

業務の負担増による不満

介護をしている人が休業したり時短勤務になった場合の業務は周りの人の負担につながります。なかでも介護の場合は育児と違って先の見通しが立たず、終了時期が明確でないため、先行きの不透明感からさらに不満が蓄積し、感情をぶつけてしまったというケースも見受けられます。

企業がとるべき対策は?

ケアハラスメントを受けている人は、仕事と介護の両立に精一杯なのと、職場に迷惑をかけてしまう後めたさでなかなか声を上げることができない心理状態です。言った側に大した悪意はなくても、ケアハラスメントや職場の無理解は介護離職を加速させます。

防止策としては、社内で介護や介護と仕事の両立に関する理解を深める必要があります。広報物の配布やイントラでの告知、セミナー等で周知・啓発し、理解を深めてもらうことで、介護を自分ごととして捉え、職場で支え合う組織風土につながります。

また、社内外に相談窓口を設置し、ケアハラスメントだけではなく介護の問題全般をサポートできる体制を準備しておけば、高齢の親を持つ従業員も安心して働くことができるでしょう。

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