介護を取り巻く職場の本音と 人手不足の今、やるべきこと。

介護離職防止策

ごく近い将来に、世界に類を見ない超高齢化社会を迎える日本。2030年には仕事をしながら介護をする「ビジネスケアラー」は318万人にのぼり、生産性の低下などに伴う経済損失額は、9兆円に上ると試算されています。介護はもう個人や家族の問題ではなく、職場や社会全体で向き合っていくべき課題になっています。

一方で、企業での両立支援は進んでおらず、介護離職者は増加中。ビジネスケアラーと職場の本音から、原因と対策を考えてみましょう。

ビジネスケアラーの本音「介護をしていることを知られたくない」

職場内で、仕事と介護の両立をしている人を知っていますか?ほとんど知られていないのではないでしょうか。

家族によるケアが必要なことに変わりないのに、育児と違い介護にはどうしてもマイナスイメージがあり、さらに身内の話をむやみにすべきではないという固定観念もあるようです。また、介護のために業務時間を削ると周囲に迷惑がかかる、評価や昇進に影響するなどの気持ちから「隠れ介護」状態になり、介護を理由にしないまま退職してしまうといったケースも多くあるようです。

参照:「隠れ介護」で急に介護離職される前に! 周知するべき社内の両立支援制度https://sapogo.iwat.co.jp/hidden_care/

職場の本音① 経営陣や管理職「介護についてあまり知らない」

一方で、経営陣や管理職はどうでしょうか。世代的に介護は専業主婦の奥さんに任せきりだったり、今はまだ施設に入りやすいなどの理由で、介護経験がなく、介護がいかに大変かを知り、寄り添える人は少ないのかもしれません。

また、介護休業や介護休暇などの取得率が低いことからもわかるように、仕事と介護の両立をしている人が明るみになっていない=ビジネスケアラーゼロ、と誤認されていて、制度の周知が必要だと認識されていないのが現状でしょう。

職場の本音② 職場の同僚「休んでほしい、けど…」

介護と仕事の両立に疲れた姿や突発的な休みを繰り返す様を見て「介護休業できたらいいのに」と職場の同僚は思うでしょう。しかし、その分の業務負担は職場に、自分に降りかかってきます。それに対して手当が出るわけでもなく、評価につながるわけでもなければ、気持ち良く「お互い様」とは言えないのが本音かもしれません。

また介護に関わらず、休みたい時に休めない、休んだ人の分の業務負担を当たり前のように職場だけで対処させるような環境は、離職者を増やすことにもつながります。

 

人手不足の今、企業がとるべき対策は?

人手不足で採用が難しいといわれる今、まずは介護離職者を増やさない対策をスタートしなければなりません。制度があっても、その周知がされていなかったり、取りにくい環境であれば絵に描いた餅です。

また、介護に限定せず、看護や育児、自身の体調変化などでも休みが取りやすいのが理想ですが、そうでなくても時間や場所を限定されず、誰にとっても持続可能な働き方ができる仕組みづくりが、人手不足の今求められています。