介護と仕事の両立を支援する制度として、国が「介護休暇」と「介護休業」を設けています。どちらも利用するには条件があるので、自身が利用できるかどうか、社内の手続きの仕方などは確認しておくことをおすすめします。また、介護休業には雇用保険から「介護休業給付金」が受給できるケースもあります。
ここでは、介護休暇と介護休業の違いや取得のポイントなどをわかりやすくご説明します。
介護休暇とは
労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。
■対象となる労働者
対象家族を介護する労働者(日々雇用を除く)
※労使協定を締結している場合に対象外となる労働者
・入社6か月未満
・1週間の所定労働日数が2日以下
■取得できる日数
対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は、年10日まで
■取得単位
1日または時間単位
■申請方法
書面の提出に限定されておらず、口頭での申出も可能(社内規定もご確認ください)
介護休暇 取得のタイミング例
介護休暇は突発的な対応や短時間の取得が可能で使い勝手が良く、直接的な介護に限定せず付き添いや手続きでも申請できるので、以下のようなケースで活用すると良いでしょう。
・通院の付き添いや介護サービスの手続きなど
・ケアマネージャーなどとの短時間の面談
・短時間の予定なので有給休暇を使いたくない
・有給休暇を使い切ってしまった
介護休暇の無給/有給は会社の就業規則によりますので、担当部署に確認をしてください。
介護休業とは
労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。
■対象となる労働者
対象家族を介護する労働者(日々雇用を除く)
※パートやアルバイトなどで有期雇用の場合は申出時点で次の要件を満たすこと
「取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」
※労使協定を締結している場合に対象外となる労働者
・入社1年未満
・申出の日から93日以内に雇用期間が終了
・1週間の所定労働日数が2日以下
■取得できる日数
対象家族1人につき3回まで、通算93日まで
■申請方法
休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申請
介護休業 取得のタイミング例
介護休業は事前申請が必要ですが、まとまった期間で休業できるため、以下のようなケースで活用しましょう。
・家族の健康状態が悪化した場合:介護が必要な状況が発生した場合、介護に専念することができます。
・家族の介護が長期化する場合:仕事と両立できる体制を整える期間として活用できます。
・介護負担が重い場合:介護負担で疲れやストレスがたまっている場合は、休業を取得することで介護とのバランスをとりながら休息をとることができます。
介護休業給付金について
介護休業給付金とは、介護休業する場合に支給される給付金のことです。
■対象となる労働者
①同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
② 取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約 (更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
※労使協定で定められた一定の労働者も介護休業をすることはできません。
■支給額
・休業開始時賃金日額×支給日数(最大93日)×67%
■給付金の申請と受け取り
・申請:介護休業終了後の翌日から2ヶ月後の月末まで
介護休業終了後に申請し、ハローワークで受理された後に給付されるので、介護休業中の生活費などに給付金はあてにせず、支給されるまでに時間がかかる点は理解しておきましょう。介護休業給付金は介護のため、仕事を休まざるを得ない状況になった時にはぜひ利用したい制度です。受け取れる金額が大きいため、要件を十分に確認し、金銭負担を少しでも減らしましょう。
うまく使い分けて仕事との両立を
このように、介護休暇は1日から数日を突発的に休むことができる制度、また介護休業はまとまった日数を計画的に休むための制度、というイメージです。どちらも仕事と介護の両立支援制度なので、状況や目的によって使い分けていきましょう。