介護離職を防ぐためにも、会社に介護のことを伝えるタイミングは「できるだけ早く」です。しかし実際には本当に深刻な状態になるまで報告できなかったり、仕事に支障をきたしてしまい、結果「これ以上迷惑はかけられない」と退職を選択してしまったりする人が多いため、介護離職が問題になっているのが現状です。では、なぜできるだけ早く伝えるべきかを考えてみましょう。
なぜ介護のことは伝えにくいのか
介護は気づかないうちから始まっていることが多く、最初は病院の付き添いなどから有休を使って対応、それでなんとかなると思い、会社に伝えないまま深刻な状況になるケースが多いようです。さらに介護は終わりが見えづらく、どうしても暗いイメージがあるため言い出しにくい、相談することで人事考課に影響が出るかもしれない、同僚に迷惑をかけたくない、などと考える人も多いようです。
早めに伝えないデメリット
会社に介護のことを伝えないまま仕事を続けていると、いつかどうにもならない事態が発生します。そこで急に休みを取って仕事に穴を開けたり同僚に迷惑をかけてしまうといった悪循環が続くと、介護離職を選択することになりかねません。介護離職は経済的リスクが大きく、例え介護が終わっても自分自身の老後が待っています。そうならないためにも、早めに会社に伝えて介護と仕事の両立のワンステップにしましょう。
早めに伝えるメリット
そろそろ心配だなあ、という段階で会社や上司、同僚に伝えることで、以下のようなメリットがあります。
・理解が得られ、休みが取りやすくなる
・仕事への影響を最小限に抑えることができる
・必要に応じて会社の両立支援制度を活用できる
そして仕事と介護がうまく両立できれば、介護離職という選択肢を選ばずに済むのです。
とにかく周囲に話してみよう
すでに家族の介護を抱えている人へ
できるだけ早い段階で介護をしていることや家族の状況などを上司に話し、職場の理解を得た上で会社や国の両立支援制度を活用するなど、介護離職を防ぐ手立てを始めましょう。それによって業務の手助けが得やすくなるだけでなく、周囲の方が介護や病気で困った時の支えにもなるのです。
介護は他人事ではない
介護はデリケートでプライベートなことなので、職場で話すものではない、と思っている方も多いと思います。しかし、平成29年の調査では介護をしている人の59.7%が有業(仕事をしながら介護をしている)という結果が出ています。介護と仕事の両立は他人事ではなく、今の日本の社会構造ではほとんどの人が定年までに親の介護に関わる可能性が高いと言えます。普段から風通し良く、困った時はお互い様と言えるような職場環境を作りたいですね。
□出典:平成29年就業構造基本調査(総務省統計局)