介護離職 体験談⑤【職場で介護の理解が得られた好事例】

介護離職 体験談

高齢化社会に伴い、介護が原因で会社を辞めてしまう介護離職が増えています。

その数は10年前と比較して約2倍。

経済産業省は年6500億円の経済損失になると試算しており

社会問題にもなっています。

今回は介護離職を体験した方のエピソードをまとめました。

介護離職の防止にお役立ていただければ幸いです。

 

<プロフィール>

・Iさん(54歳) 女性 ・自動車メーカー工場勤務 / 整備士

・職場の同僚から介護への理解が得られた好事例

 

自動車メーカーに勤めるIさん(48歳)仕事は、親が脳卒中で倒れて以来、介護に追われる日々を過ごしていました。朝起きてすぐに朝食の準備、それが終わると排泄の介助。

 

また週3日程はリハビリを受けるために車いすに乗せて通院に向かいますが、これがなかなかの重労働です。

 

そんな過酷な中でもIさんはなんとか仕事との両立を図っていましたが、彼が直面したのは、肉体面での辛さはもとより、精神面の辛さで彼が直面したのは、同僚たちからの理解が得られないということでした。

 

例えば、Iさんは介護のため仕事を早く切り上げて帰ることも多くなり、同僚たちからはよく嫌味を言われるようになりました。「早く帰れていいな。」「君の仕事の負担は俺たちにくる」などの心もとない言葉が、彼にとっては精神的な負担となっていきました。

 

Iさんは同僚たちに自分の状況を説明しようとしましたが、なかなか理解を得ることができませんでした。また彼らIさんの存在が負担となっているようで、そのことはIさんにとって非常に苦しいものでした。

 

Iさんは次第に職場に居づらくなり、ますます介護と仕事の両立が難しく感じるようになります。最終的には退職を考えるようになりました。

 

しかし、Iさんは退職願いを出す前に、もう一度、同僚たちに自身の状況について丁寧に話そうと決めました。

 

介護が始まった日のこと、朝起きてからするべきこと、休日や自分の自由な時間がないこと。

 

さらに、職場で迷惑をかけていることの申し訳なさや、皆が疎ましく思っていることなどを正直にさらけだしました。

 

同僚たちは初めてIさんの本音を聞いて、驚きや心苦しさと同時に、1Iさんを理解しようという気持ちが芽生えました。Iさんが抱える問題や不安、そして同僚たちへの気遣いに触れ、彼らは初めて彼の立場を理解することができたのです。

 

「俺たち、全然知らなかったよ。ごめんな、それなら手伝えることがあれば言ってくれればいいのに。」

 

同僚たちの言葉にIさんは胸が熱くなりました。それから彼らは、Iさんの介護の負担を分かち合い、仕事との両立に向けて協力することを決意しました。

 

会社も、Iさんのために柔軟な働き方やサポートを提供することで、彼が安心して働ける環境を整えることに取り組みました。同僚たちの理解と協力、会社のサポートがあったことで、Aさんは退職を取りやめ、仕事と介護のバランスを取り戻すことができたのです。

 

この体験を通じて、Iさんは大きな教訓を得ました。時には自分から語りかけ、困難な状況でもコミュニケーションを大切にし、理解を得ることが重要であるということを知りました。他者の立場や苦労を理解し合うことで、助け合える環境が作れたいい事例ですね。