高齢化社会に伴い、介護が原因で会社を辞めてしまう介護離職が増えています。
その数は10年前と比較して約2倍。
経済産業省は年6500億円の経済損失になると試算しており
社会問題にもなっています。
今回は介護離職を体験した方のエピソードをまとめました。
介護離職の防止にお役立ていただければ幸いです。
<プロフィール>
・Sさん(45歳) 男性 ・製造業にお勤めのマネージャ職
・真面目で責任感のある社員で将来を有望されている
もっと早くに相談してくれたら・・・
昔から真面目で責任感の強い45歳のSさんは、ある日突然介護の重責を担うことになりました。
彼の母親が突然の病に倒れ、重度の身体障害を抱えるようになったのです。
Sさんには兄弟もいない為、そのまま自身で母親の
介護をする決断をしました。
Sさんは仕事と介護の両立を図ろうと毎日命頑に頑張りました。
朝は5時に起床し母親のケア、そのまま家男を出て
仕事が終わり帰宅する時間は深夜22時を越えることもしばしば。
また休日も休める時間はなく、自身のことは二の次で
母親のケアに専念しましたが、
次第に仕事と介護の疲労が重なり、Sさんは体力的に
限界を感じるようになります。
さらにSさんを追い込んだのは、彼自身の性格でした。
上司や同僚の期待に応えたいという気持ちや
仕事に対しての責任感から、周りに迷惑をかけたくない
という気持ちが大きく、なかなか会社に相談できずにいました。
それが彼を精神的にも追い詰めてしまうことになるのです。
そんな隠れ介護をしながら、なんとか耐えていたSさんでしたが、
母親の状態が悪化するにつれて、会社を早退したり
休暇を取っての対応をせざるを得ない状況になってきました。
またSさんは仕事の向き合い方にも中途半端と感じ、
母親をしっかりと介護できていない状況に納得が
できないようになりました。
ついにSさんは悩んだ末、母親の介護を優先するために、
会社を辞める決断をします。
彼はこの頃にはもう心身的にも限界を超えており、
やりきれなさを感じる一歩で、
どこか退職できることにほっとしている部分も
あったたようです。
Sさんは退職を告げた後、1か月程で会社を去りました。
勤務先の人事担当者は「事前に相談してくれれば、会社としても支援できる
制度などを伝えられたのに残念、、」と惜しい人材の流出を嘆いています。
またSさんの真面目で責任感のある働きぶりを評価していた上長は
「気づいてやれなくて申し訳なかった。もっと長く一緒に働いてほしかった
な」とやりきれない表情をみせていたようです。
仕事と介護の両立の末に限界を迎えて、会社を突然辞めてしまう
隠れ介護離職はもう珍しいことではなくなってきています。
会社側がしっかりと支援制度を用意し、
社員に手を差し伸べることができていたら
もしかしたらこういった残念な事態は防ぐことが
できたかもしれません。
その為にも人事総務部の方は、
早急に介護を抱える社員への
支援制度を整えることが重要となってきます。
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