高齢化社会に伴い、介護が原因で会社を辞めてしまう介護離職が増えています。
その数は10年前と比較して約2倍。
経済産業省は年6500億円の経済損失になると試算しており
社会問題にもなっています。
今回は介護離職を体験した方のエピソードをまとめました。
介護離職の防止にお役立ていただければ幸いです。
<プロフィール>
・Sさん(33歳) 女性 ・マーケティング会社 / 事務職
・職場の同僚から介護への理解が得られず苦しむ
Sさん(33歳)はとある企業で働く女性会社員です。数年前に、彼女の人生には大きな変化が訪れました。長く続く親の持病が悪化し、介護が必要になってしまったのです。
最初の頃は、仕事と介護の両立を図ることができていました。Sさんは2人の兄弟と一緒に住んでおり、互いに毎日の通勤時間を削って、親の世話をするようにしていました。しかし、やがてその負担は次第に増え、彼女の心身に大きなストレスを与えるようになっていきます。
職場では、人間関係の悪さや周りからの理解が得られないという問題がありました。Sさんが介護のために早退や欠勤をすることが多くなると、同僚からは理解を得るどころか冷たい視線を感じるようになります。彼女は何度も介護の大変さや家族の状況を説明しようとしましたが、それでも理解は得られませんでした。
そんなある日、親の状態が急変しました。病状が悪化し、一人では生活できなくなったのです。Sさんは仕事を続けるかどうかの判断を迫られました。Sさんはキャリアを築き、仕事に誇りを持っていたので、仕事を辞めることに葛藤しました。しかし、親をしっかりと見守りたいという気持ちが高く、最終的に退職へと導いたのです。
退職を決めた後、Sさんは上司に相談しました。これまでの苦境を伝え、退職の理由を詳しく説明しました。上司は状況を理解してくれましたが、同時に私が辞めることによる会社の影響も心配している様子でした。
Sさんは会社に対して最大限の配慮を示すため、退職の日までの期間をしっかりと確保し、引継ぎや手続きを円滑に進めるよう努めました。また同僚たちにも退職の理由を伝え、感謝の気持ちを伝えることができました。一部の同僚は私の決断を理解し、応援してくれる言葉をかけてくれましたが、中には最後まで理解してくれない人もいました。
退職後は、親の介護に専念する日々が待っていました。Sさんは新たな役割として、介護者としての責任を全うするため、親のために全力を尽くしました。同時に、自身の心のケアも怠らないようにし、心理カウンセリングを受けることで、自分の感情やストレスを整理する手助けを受けました。
今となっては、退職を選んだことは正しい決断だったと感じているようです。そしてSさんの親は私のサポートを受けながら、少しずつ回復し、生活の質が向上しています。彼女自身も、親との時間を大切にし、介護に関する知識や経験を積むことができたと話していました。
しかし、一方で職場の人間関係や理解が得られなかった経験は、彼女にとって大きな傷となりました。将来、再び会社員として働く機会が訪れたとき、介護に対しての理解ある環境で働きたいと決めているようです。