仕事と介護を両立したいけど、実家が遠いという場合は遠距離介護になる可能性があります。遠距離介護では近距離の介護とは異なる注意点や苦労が出てきます。今回はそんな遠距離介護をする際に知っておきたい帰省頻度や交通費、気を付けたいことについて紹介します。
遠距離介護とは
遠距離介護とは介護する人と介護される人が離れて暮らしたまま介護が行われている状態を指します。例えば親が九州、子どもは関東で暮らしていて、月に数回子どもが介護のために実家に帰っているという例が当てはまります。
遠距離介護の帰省頻度は?
介護のための帰省頻度は、家族の状況により様々です。
一般的な目安としては
- 週1回から2週間に1回程度
- 月に1回程度
- 数か月に1回程度
が挙げられます。
家族の状況を把握するためには、週1回から2週間に1回程度行けると望ましいと言われています。週末に定期的に帰るというイメージですね。
それが難しい場合には月に1回程度が目安となります。ただし1か月の間に状況が変化していることもあるため、なるべく定期的な連絡を取ることをおすすめします。
兄弟姉妹で親の介護を行っている場合、ローテーションで数か月に1回程度の帰省となることもあるでしょう。この場合は一緒に介護を行っている人との情報共有が重要になってきます。また、一人っ子など介護する人が自分しかいない状況で数か月に1度しか帰省できなさそうな場合は、地元のケアマネジャーや介護施設との連携を図りましょう。
以上はあくまで目安であり、帰省頻度は話し合いを元に決めることが大切です。また介護の状況が変化した場合には、帰省頻度も検討し直す必要がでてきます。
遠距離介護の交通費
週に1~2回でも月に1回でも遠距離介護を行う上でかかってくるのが交通費です。最初は気にしていなくても、段々と費用がかさむ項目のため、事前に考えておきましょう。
交通費は誰が払うの?
遠距離介護の交通費は介護する側が払うことも少なくないようです。しかしながら距離や帰省頻度によっては大きな出費となるため、負担してもらうことを検討しても良いでしょう。
交通費の助成や控除はある?
遠距離介護の交通費に使える国からの助成金や控除は今のところ無いようです(2023年3月現在)。その代わり、割引サービスを実施している民間の交通機関があるので、一度調べてみると良いでしょう。例えばある航空会社では要介護・要支援認定を受けた親族の方は「介護帰省割引」を利用することができます。
親を呼び寄せたい時の話し合いのポイント
どうしても遠距離介護が大変で、なんとかして親を呼び寄せたいと思うこともあるでしょう。しかしながら、介護する側だけの都合で決めると後の関係が上手くいかず、苦労することがあります。一方的に進めるのではなく、十分な話し合いを行いましょう。話し合いのポイントは下記の通りです。
親の気持ちを知る
これまで慣れ親しんだ場所を離れて暮らすことには不安がつきものです。介護する側の主張だけを押し通すのではなく、どんな懸念事項があるのか気持ちに寄り添いながら聞いてみましょう。そうすることで、一緒に解決策を考えることができます。
客観的に問題点を整理する
親を呼び寄せることで、解決できる問題点を資料にまとめると良いでしょう。例えば、介護に必要な時間の捻出や交通費の削減など、数値で表すと納得しやすくなります。どうしても気持ちの面で自宅を離れたくないという話になりがちですが、メリットを可視化することで冷静な判断がくだせるようになることもあります。
最終的には親の意見を尊重する
親が自分で意思決定できるうちは親の意見を尊重しましょう。親にも譲れない想いや人間関係があります。介護の状況が変化するにつれ、親の意見も変わってくることがあるので、その時まで様子を見るというのも1つの選択です。
遠距離介護で自滅しないためには
呼び寄せを検討していたが、やむを得ず遠距離介護になってしまうこともあります。そんな時のために遠距離介護を続けるためのポイントを紹介します。
自分自身の健康管理を行う
介護は精神的にも肉体的にもストレスがかかります。自身の体調に気を付け、適度な運動や規則的な食生活、気晴らしになる趣味を持つことが大切です。辛い時は無理をせず帰省を控えることも考えましょう。
職場への理解を求める
交通費の問題など平日の方が何かと都合がいい場合もあるでしょう。有給休暇でなんとかなりそうだからといって、自分だけで背負うよりも早い段階で会社に報告した方が楽になることもあります。会社によっては独自の制度があったり、介護休暇の案内がなされたりするからです。可能であれば一度上司に相談してみましょう。
地域の情報を集める
遠距離介護では、情報が入ってこず苦労することがあります。現地の介護サービスの利用や、現地の友人・知人からのサポートを受けることができるかどうかなど、事前に確認しましょう。サポートが得られる場合は、定期的にコミュニケーションをとり、情報共有することが重要です。